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インド・ニューデリーのジャワーハルラール・ネルー大にて国際関係を学んでいた留学生の記録。
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9/11(nine eleven)といえば、アメリカの同時多発テロのこと。アメリカと世界に衝撃を与えたあの事件は、9/11とだけ言えば、その事件の意味で通じる。同じように、26/11(twenty six eleven)という言葉がある。昨年11月にムンバイで起きた大規模テロのことだ。インド以外でどの程度使われていのかは知らない(おそらく使われていないのだろう)が、インドではすでにかなり流通しているように思われる。

11月26日が26/11というように日付が前になるのは、アメリカ式英語とインド式英語(イギリスもそうかな)の違いのため。アメリカでは月、日、年の順だが、インドでは日、月、年の順。

26/11から早3ヶ月。事件のインパクトは今も色濃い。市民生活への影響はともかく、政治的なインパクトが甚大であったことに疑いの余地はない。

早3ヶ月だが、視点を変えればまだ3ヶ月。書店でこの事件に関する本を見つけた時には、その早さに驚いた。

Harinder Baweja, ed., 26/11: Mumbai Attacked, New Delhi: Roli Books, 2009. Rs. 295. 216 pg.


ジャーナリストによる叙述的な作品。「なぜ」を説明するのではなく、「なにが起きたか」をまとめた本。事件そのものの展開を説明することに紙幅の大部分が割かれる。したがって学術的な関心に応えてくれる本ではないが、何かの役には立つかもしれないと思い、購入。

この本を見て(読んではいない)気になったのは、事件を美化しようとする傾向が感じられたこと。事件に現場で関わったインド側関係者を英雄視するようなところが見られる。9/11のときも同じような傾向があった。そのような心理が働くことは理解できる。だが、凶悪なテロリストに対峙する英雄たちという構図を際立てることには怖さも伴う。9/11後のアメリカを想起せざるを得ない。事件から3ヶ月、インド政府はきわめて抑制的な対応をしているが。

歴史の記憶という問題は、国際政治における1つの研究分野と言える。26/11が今後人々にどのように記憶されていくことになるかは、興味深い。

ちなみに、本書にはこの事件のテロリストたちの顔写真が掲載されている。もちろん1人以外はその場で殺害されているので、遺体の写真ということになる。
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自己紹介:
2008年7月から2010年5月まで、ジャワ―ハルラール・ネルー大学留学。
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