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インド・ニューデリーのジャワーハルラール・ネルー大にて国際関係を学んでいた留学生の記録。
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読書メモ。

IDSAのパンダさんがオバマ政権の対日政策について書いたレポート。2月のクリントン国務長官訪日を中心に。

Rajaram Panda, "Obama's New Engagement Policy Towards Japan," March 9, 2009.


会談の成果や、最初の訪問先としたことが日本で好意的に報じられたことについて詳しく書いている。とてもよく調べてある、というのはあたりまえなのでむしろ失礼か。インドの安全保障コミュニティの人がこのような問題をどう見ているかという観点で、興味深かった。

まず、経済への言及が少ない。日本では、アメリカの経済危機との関係からクリントン訪日をとらえる向きが強かったと思うが、そういった側面はあまり注目されていない。パンダさんの関心がそちらには向いていないのだろう。

クリントン国務長官が対外政策の3本柱として言及した「3つのD―防衛(defense)、外交(diplomacy)、開発(development)」のうち、開発重視の姿勢が見られたことの例として、緒方貞子JICA理事長との会談に着目していることは意外で、興味深い。ただし、「3つのD」は政策指針としては広すぎて無意味だと思う。

また、日本の情報を新聞社の英語サイトから得ているということがわかる。そのためだろうか、「主要な全国紙」の論調を分析する文脈で、ジャパン・タイムス(the Japan Times)が登場する。これはいただけない。明らかに「主要」ではない。

結論部では、クリントン国務長官が「共通の関心であるグローバル・イシューに対する政策、とくに環境問題をめぐる政策について議論する、日米中三国間対話の可能性を模索しているようだ」としている。そのことについてはそれまで本文中に言及がなく、論拠が不明で唐突な感が否めない。さらには、オバマ政権の「スパート・パワー」重視にも言及するが、そのことと外交や開発を重視する姿勢との関連については説明が必要だろう。「スマート・パワー」という概念は、今のところ、ソフト・パワー重視すること以上の意味は与えられていないはずだ。

クリントン訪日を以てして、オバマ政権の日本重視姿勢の証とできるかどうかは疑わしい。しかし、少なくとも、日本に寄らずに中国を訪れて日本軽視と受け取られた1998年のクリントン大統領(当時)とは違うということを示せた。パンダさんもそこを強調している。
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自己紹介:
2008年7月から2010年5月まで、ジャワ―ハルラール・ネルー大学留学。
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