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インド・ニューデリーのジャワーハルラール・ネルー大にて国際関係を学んでいた留学生の記録。
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昨日深夜、南インドの旅から戻った。

明けて今日(10日)は、学生組織による全学ストライキ。旅の後片付けや休養ができるという点では幸いだが、このことが事前にわかっていればもう1日ケーララに滞在できたのに、という残念さもある。

そんな今日、個人的に、ちょっとした事件があった。


ムニールカーの自室には温水設備がない。ポットはあるが、シャワーを浴びるほどの水をそれでためるのは難しい。そのため、冬の間は学内の寮でシャワーを浴びている。頭から温水のシャワーを浴びる設備はないが、湯沸かし器から大きなバケツにお湯をため、それを体にかける。それがあたりまえとなってしまった今、とくに不便は感じない。

今日も、シャワーを浴びるため、寮へ。

寮の自室で服を脱いでから、バスタオルを巻き、バケツやシャンプーなどの用具一式を持ち部屋を出て、廊下を通り、シャワー室に向かう(トイレと併設)。シャワーにはかなり長い時間がかかるため、一応部屋には鍵をかける。

湯沸かし器からバケツにお湯をためているとき、ふと気づいた。

「あれ?鍵は・・・?」

しまった。鍵を持ってくるのを忘れた。鍵を使わずに閉めることのできる南京錠で、施錠してしまった。鍵は部屋の中。今はルームメイトもいないため、鍵は部屋の中にしかない。

バスタオルを巻いただけの姿で、部屋に入る手段を失ってしまった。

そのときちょうどトイレにいた寮の警備員に状況を訴える。返事が全部ヒンディー語で返ってくるので、どの程度こちらの話を理解してくれているのかよくわからないが。とりあえず、寮の管理人(ケア・テイカー)を呼んでもらうことにした。ケア・テイカーに、錠を破壊してもらうしか術はないだろう。

ここは寮のボーイズ・ウィングなので本来女子学生はいないはずなのだが、ここではけっこう気軽の女子学生が男子学生の部屋を訪ねている(さすがに逆はダメ)。そのため、トイレの入り口で警備員の戻りを待つ。

まもなく警備員が戻ってきた。ケア・テイカーも鍵はもってないと言う。そんなことはわかっている。自前で用意した鍵なのだから、あたりまえだ。錠を壊したいということを、ジェスチャーを交えて伝える。

もう一度戻ってきた警備員は、ケア・テイカーのところに来いと言う。来いって・・・この姿で?たしかにインドでは腰布(ドーティー)を巻いただけの姿のおじさんなんていくらでもいるわけだが・・・。

その姿のまま、早足で廊下を通り、ケア・テイカーの部屋へ。状況を説明。他の仕事をしており、ちょっと待てと言われる。その姿のまま、廊下からの死角に身を隠し、待つ。すぐに戻ってきたケア・テイカーともに部屋へ。

状況を確認したケア・テイカーはどこかへ。錠を破壊する道具をもってくるのかと思ったら、なかなか戻ってこない。どこへ行ったのだろうか?廊下で、バスタオル1枚の姿のまま、待たされる。

しばらく待つが、戻ってこない。通りすがりの同じフロアの知り合い(インド人)が声をかけてきた。状況を説明する。すると、様子を見に行ってくれた。

様子を見てきてくれた彼曰く、なんと、ケア・テイカーは外から部屋の中の鍵を取ろうとしている、とのこと。その手があったか・・・。鍵は多分、机の上。ろくに物の置いていない部屋なので、それはすぐに見つかる。地上階だから、窓が開いていれば、室内に棒を差し入れることくらいは容易にできる。長い紐に結びつけてあるので、拾いあげられる可能性もある。しかし、窓は通気口くらいの小さな隙間くらいしか開いていない。かなり難しいはずだ。

その彼も外からの鍵ピックアップ作戦に加わってしまったので、自分は廊下で一人待つことに。もちろん相変わらずバスタオル姿。部屋の中からは、何やら棒でつつく物音と、鍵が動く金属音、そして歎声が聞こえる。

それがしばらく繰り返されたのち、静寂が訪れた。

そして、ついに鍵を持って、彼らが廊下に現れた。無事に鍵は救出された。いつの間にか、知らない他の学生も加わり、鍵を拾い上げるミッションが展開されていたようだ。

困っている人がいれば、よってたかって何とかするというカルチャーがここにはある。それはそれですばらしいことだが、問題は、旅の疲れによる不注意さえなければ、多くの人を巻き込んでの(しかも恥ずかしい)トラブルを引き起こさずに済んだということだ。
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プロフィール
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toshi
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男性
自己紹介:
2008年7月から2010年5月まで、ジャワ―ハルラール・ネルー大学留学。
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