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インド・ニューデリーのジャワーハルラール・ネルー大にて国際関係を学んでいた留学生の記録。
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午後はCIPOD主催の研究会に出席。

以下は研究会についてのメモ。


報告者:Vaidya Gundlupet
テーマ:Big Sticks and Contested Carrots: A Power-Centric Theory of International Security Institutions
2009年1月6日

Vaidya Gundlupet:
JNUからChicago U.に進み、John Mearsheimerを指導教授にPh. D.を昨年獲得。現在はPrinceton Institute for International and Regional Studies研究員(Princeton U.)。

今回の報告はPh. D.学位論文Big Sticks and Contested Carrots: A Power-Centric Theory of International Security Institutionsの要旨。同論文については出版準備中とのこと。ネオ・リアリストによる制度(institution)論へのアプローチであり、大国の役割に着目しながら、強固な安全保障institutionが成り立つ条件を検討している。

以下の3つを前提条件とする。
1. 国家は一体のアクターであり、合理的に利益の最大化を図る
2. アナーキー、パワーの不均等
3. すべての国家は自助(self-help)の世界を生きるが、大国のみが自らのパワーに頼り、他の国の安全保障は大国次第である
併せて、国家が生き残り(survival)を最優先し、大国はパワーの維持、弱国はパワーの強化を図るという国家の選好(preferences)も前提とされている。

これら条件の下、大国・弱国の双方にとって、制度構築が国家の安全保障政策にとって効果的な手段であることを論じる。概して、制度はコストの高い行為を避ける効果が期待される。強国には①戦争、②制裁、③制度構築という戦略がありうるが、制度構築によって戦争のコストを回避することができる。弱国には①戦争、②同盟、③制度構築の戦略があるが、制度構築によって敗戦による略奪を避けることが期待される。ただしこのような議論が成り立つのはパワーの不均等が条件である。均衡した条件下では戦争の結果が不透明となるためである。

それから、議論は強固な安全保障institutionが成り立つ条件へと進む。以下の2つを不可欠な条件とする。
1. 強国がその分野において弱国の行動を制約することに利益を有する
2. 制度が強国に深刻な制約を課さない
加えて、
3a. 強国が弱国の安全保障上の懸念をある程度考慮する
あるいは
3b. 強国が制度を強制するための能力を用いることができる
という条件を要する。

上記枠組みに基づき、核兵器、化学兵器、生物兵器、地雷という4つの安全保障に関するイシュー・エリアごとに検討を行い、議論の妥当性を示そうとしている。

[感想]

理論および実証の両面において粗い議論との印象を受けた。とりわけ後者では、特定のinstitutionではなく、分野ごとにinstitutionの強弱を論じていることがそのような印象をもたらしているように思われた。討論においては、実証研究の不足や、規範的側面への着目の欠如が指摘されていた。
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toshi
性別:
男性
自己紹介:
2008年7月から2010年5月まで、ジャワ―ハルラール・ネルー大学留学。
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