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インド・ニューデリーのジャワーハルラール・ネルー大にて国際関係を学んでいた留学生の記録。
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久しぶりに、JNUの所属センターの研究会に出席した。骨折以来初めてなので、おおよそ3ヶ月ぶりだろう。

今日は、ヨーロッパから来ているある研究者の報告。博士課程レベルの若手。別の場所で一度会って挨拶したことのある人で、テーマも非常に興味深かったので、今日はこのために研究科を訪れた。多くの学生や教員も集まっていた。

セミナー室のPCとパワーポイントの立ち上げに手間取る。これはまあ仕方ない。いつものことだ。隣に座った教員が、この準備の悪さがインドなのよ、とつぶやく。

ようやくパワーポイントが起動する。巻き起こる拍手。めでたし。

やっとのことで開始できた報告は40分ほど。その後、質疑応答。

出席した甲斐があったというものだ。非常に参考になった。ただし反面教師としてだが。

初歩的な概念の説明。わかりきった事実関係の解説。稚拙な方法論的の提示。無理やりな比較。そして結論なき終わり。

なんじゃこりゃ。反面教師として以外には、何の価値もない。

修士1年の論文構想発表とか、そういうレベル。

隣の教員は、せっかくノートを広げてメモを取る構えだったのに、報告者の名前と報告タイトルしか書いていない。何名かの教員は、途中退席してそのまま帰ってこなかった。

この退屈な報告はいつまで続くのか。沈鬱な雰囲気が場を支配していた。

質疑応答では、研究の趣旨をもういちど説明するよう促したり、方法論上の問題点を指摘したり、分析上の不足(要するに浅いということ)を諭したり。ここの教員たちは、みんなとても優しい。

ダメさ加減がわかりやすい報告だった。そのため、皮肉ではなく、本当に参考になった。こういう研究をしてはいけない。そう心に刻んだ。

 
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最近お気に入りのジュース。
レモン水Rs. 15。オレンジRs. 20。
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1955年、バンドン会議(Asian-African Conference)といえば、国際関係における第三世界の連帯を象徴する会議として非常に有名だ。インドのジャワハルラール・ネルー首相、中国の周恩来首相、インドネシアのスカルノ大統領、エジプトのナセル大統領が中心となり、アジアとアフリカから29カ国が参加して行われた。前年(1954年)のネルー首相と周恩来首相による平和共存五原則(平和五原則、パーンチシール)を拡張した平和十原則が合意されたことも広く知られている。

バンドン会議の開催にはインドのネルー首相のイニシアティヴが最も重要な役割を果たしていた。しかも、1947年のインドですでに類似の試みが行われていた。1947年にニューデリーで開催された「アジア関係会議(Asian Relations Conference)」だ。インドは独立の直前、多くのアジア諸国ももちろんまだ独立前だ。

この1947年の会議をモチーフとした大規模な国際会議「アジア関係国際会議(International Conference on Asian Relations)」が、今年からICWA-AAS国際会議としてインドで毎年開催されることとなった。第1回の今回は中国をテーマとして行われた

主催はインド外務省系のシンクタンクであるIndian Council of World Affairs(ICWA)。今回の企図の背景には、一時期機能低下していたICWAという組織自体が復権を目指して積極的な活動を近年展開していることともおろらく関連しているのであろう。もう1つ名前を連ねているAASとは、Asociation of Asian Scholarsという研究者の集まりである。数年前にできたばかりの組織で、当然常設の事務局や職員なども存在しない。代表であるJNUのSwaran Singh教授と事務局長であるDU(デリー大学)のReena Marwah准教授の2人による個人的な貢献が、組織の実態である。今回は、ICWAが資金と会場を提供し、AAS(というか2人)が事前のロジスティクスを担当したものと思われる。当日はICWAの研究者とJNUやDUの学生がサポートにあたっていた。

3日間で7つのセッションがあり、それぞれ各3~5名が報告を行うという大規模な会議となった。東南アジア諸国、南アジア近隣国、欧米、中国・台湾からの参加者もあった。残念ながら日本から来た報告者はいなかった(1名直前キャンセル。在住日本人が1名報告)。インド側参加者にも外国からの参加者にも有名人も多数おり、ミーハー的な楽しみも大いに味わうことができた。

3日間の会議(最終日は途中退出したが)の中で最も興味深かったのは、L. C. Jainのスピーチだ。1947年の会議の開催に携わった人物で、当時の興味深いエピソードを披露してくれた。もちろんかなりの御老体だが、クリアでしっかりとした話しぶりであった。時間が押しているからといって、主催者がこういう人のスピーチを途中で遮るように早く終えさせたのはいかがなものかと思った。次に外務担当国務大臣Shashi Tharoorのスピーチが控えていたことを踏まえての主催者側の苦肉の判断だというのもわかるが、そうした事情を押しのける蛮勇をふるってもらいたかった。官僚の用意したペーパーを読み上げるだけのスピーチと、歴史に埋もれていた貴重なエピソードが明らかにされるスピーチのどちらが大事かの判断を誤ったのではないだろうか。

問題点も少なくない。第一に、会議の性質が不明確であったことだ。モデルとしたAsian Relations Conferenceはもちろん完全に外交的な国際会議だ。それに対して、今回は(事前には)アカデミックな会議であると聞いていたが、実際のところは元外交官など実務の人間のプレゼンスが強く(「Ambassador~」の肩書きがやたらに多かった。「大使!」と読んだら大勢が振り返るだろう)、アカデミックな会議としての色彩はとても弱いものとなっていた。最終日のみはインドにおける中国研究の現状というテーマが明確化されていたが、メインの最初2日はテーマが明確でなかった。報告テーマには各国の対中関係や対中認識を扱う叙述的報告が多かった。また、短い報告時間のためか、方法論やソースの明らかでない非学術的な報告が多かった。欧米からの出席者を中心とした一部の純然たるアカデミックの研究報告に対して、アカデミックの流儀をわきまえない的外れな質問が向けられることも少なくなかった。何度も言及された、パーンチシールに立ち返るべきだ、のような一方的で理由の示されない政治的な主張も学術会議にふさわしくない。そういう主張をしたいなら、なぜそれが必要かを論証すべきだ。

第二に、若い出席者が少ないことだ。せっかくキャパシティの大きな会場を使用しているのに、参加者を招待客限定にして半分以上の空席を残していた。大学院生レベルでの参加者は、海外からの報告者に付き添いに来ていた数名と、インド側の自分をふくむ数名(現地の大学院生は自分だけだったかもしれない。シンクタンクや大使館などからの若い参加者はいたが)くらいしかいなかったと思われる。JNUやデリー大学の学生数名はスタッフとして会場にいたが、彼らはいろいろな雑務をさせられており、報告に耳を傾けたり参加者と交流したりすることはほとんどできなかったはずだ。若い世代こそがこのような機会を浴するべきだと思うのだが。インドにおいては、学生を軽んじる権威主義的風潮があり、不愉快な思いをさせられることがある。確かに出席者が多くなればコストがかさむという事情もわからないでもないが。例えば、海外の学術会議がそうであるように、参加費を取ればよいのだ。インドでのこうした会議ではなぜか参加無料でしかも食事も振舞うのが定式化しており、そのためには参加者を限定する必要があるのだが、アカデミックな色彩を強めるならば海外の国際学会を見習い、参加費を取ってでもオープンな会議とすべきだろう。それと、報告ペーパー集も報告者のみではなく参加者全員に用意すべきだ。コストがかかるなら販売でもかまわないのだ。

第三には、ある意味どうしようもないことだが、デリーの季節的「旬」が終わりかけ、大気汚染の状況が深刻化しているこの時期に開催したことである。3日間会場まで足を運ぶのは苦痛であった。個人的には、一緒に行く人との関係で、移動の半分はオート・リクシャーを使用したため(残り半分はタクシー)、長時間劣悪な大気にさらされざるをえなかった。国外から多数の参加者を望むのならば、どうせなら過ごしやすい季節がいい。あと2週間早ければ大分違うのだが。

ちなみに、この会議の実質的な運営者が自分の指導教授だという関係で、当初は自分も報告者に予定されていた。報告希望者が多く集まったために結局キャンセルしたわけだが、正直なところ、やらなくてよかった。実務への関心が弱く、方法論を重視する自分の研究がこの場にマッチしなかったであろうことは容易に想像できる。
11月21-23日
国際会議に連日参加中。
といってもただ聞いているだけ。

報告をさせてもらえる可能性もあったけど、やめといてよかった。他の参加者が大物たちすぎる。

International Conference on Asian Relations 2009
'Emerging China: Prospects for Partnership in Asia'
by Indian Council of World Affairs (ICWA) in association with the Association of Asia Scholars (AAS), New Delhi
in Sapru House
今日という一日は、きっと自分の研究にとって重要な一日となるだろう。

研究論文の指導で、(インドでの)指導教授から、大きなヒントをもらった。

テーマや研究手法といった論文の根幹に関わる部分ではないのだが、結論および意味付けの方向性について、思わぬアドヴァイスを受けた。

「君の研究は、~~という問題を解く鍵になりうる」という具合に。

小さなテーマに取り組む予定なのだが、その研究が、より大きな、そしてより重要なパズルを解く鍵になるということを気づかせてくれたのだ。

感動した。

自分の研究に命を吹き込まれたような思いだ。

うまくいけば、大きな成果になるかもしれない。

もちろんそのためには、地道な作業を重ねて練り上げていかねばならないわけだが。
JNUでは、セミナーという名で行われる研究会が盛んだ。

主に外部の研究者や実務家を招いて行うもので、かなりのビッグ・ネームが多い。

JNUの大学院教育(そもそも大学院大学だが)において、セミナーは重要な位置づけをされている。優れた研究者や実務家に直に接することのできる貴重な機会であることはもちろん、それ以上の意味がある。M. Phil.以上の学生は、M. Phil.1年目しか授業がないため、セミナーに顔を出すことにより、他の学生や教員との接点を保つことができるという側面もあるのだ。

そのように重要なセミナーであるにもかかわらず、毎度告知が遅い。

昨日のセミナー(Patrick Bratton)については、報告者と同じ研究所の人を通じて情報を得ていたので幸いにして知りえた。研究科で告知がされたのは、おそらく前日か当日かそのくらい。

昨日のセミナーの後、今日もセミナーがあるらしい、という話を聞いた。告知はされていない。しかも、あるかどうか定かではないという。前日になってもやるかどうかわからないというのは、日本では信じられないことだ。予定されているのはインド核政策研究の第一人者の報告であり、多くの学生にとって興味深いものだと思うのだが、周知されないのが残念でならない。
いま、インドの対外政策に関する論文を書いている。時事的なもの。

・・・進まない。困った。

考えてみれば、初めてだ。インドのテーマで論文を書くのは(記事ならあるが)。固有名詞のカタカナ表記1つにしても、いちいち調べなければならない。とにかく手間がかかる。時間がかかる。それに、今回は国際関係よりも、国内政治に近いテーマ。勝手が違う。

あと3日間、厳しい戦となりそうだ・・・。

この仕事が終われば、独立記念日(8月15日)まではすこしゆっくりできる。たぶん。

旅がしたい。引っ越しもしたい。

そんな希望を胸に、闘う。

おもしろい記事があったので、備忘録代わりにメモ。

The Hindu紙に掲載されたオピニオン記事。

リンク


JNUのマトゥー教授が、なぜインドの国際関係研究がダメかを論じたもの。
wikipedia上のとある日本人研究者の経歴に、「国際インド学校留学」との一文を発見した。なるほど、こういう訳し方もあるのか、と思った(必ずしも肯定的な意味ではなく)。

この「国際インド学校」とは、現在自分の所属するセンター(国際政治・国際組織・軍縮センター、Centre for International Politics, Organization and Disarmament: CIPOD)のルーツにあたるIndian School of International Studies(ISIS)のことだと思われる。その研究者がそこに所属していたという話は聞いたことがあるので(JNUの元教授から)、まず間違いない。

今でこそCIPODはJNUという大学院大学(学部組織も一部存在するが、基本的には大学院のみ)における、国際研究科内の一組織であるが、ISISはJNUよりも長い歴史を持つ。ISISの設立は1955年。JNUオフィシャル・ウェブ・サイトによると、ISISは大衆教育の機関としてではなく、独立間もないインドの国家運営を担うエリートの育成を目的として設立されたことがうかがえる。1970年に新設のJNUに併合されてその中の一研究科(国際学研究科、School of International Studies: SIS)となるまでは、Ph. D.課程のみしか提供していなかった。その後、SISにはM. Phil.やM. A.課程も設立され、大学院の一研究科として体裁を整えることとなった。

ISISを直接的に受け継いでいるのはSIS(国際学研究科)だが、内容的にはSISの内部の部門であるCIPODがISISの役割を色濃く受け継いでいる。インドの戦略コミュニティにはCIPOD出身者が非常に多いと言われる(ただし自分の実感としてはそれほどでもない。むしろSIS内の地域研究部門出身者のプレゼンスを感じる)。CIPODに限らないが、マルクス主義の存在感は全くと言っていいほど感じられず、リアリズム(一般的な意味でも、理論的な意味でも)が圧倒的な優位を誇る。

これら(戦略コミュニティとの近さ、現実主義志向の強さ)は伝統的かつ現在も根強いトレンドと言えよう。それとは異なるところで、古い流行の廃れと新たな動きがあるように思える。「第三世界」(この言葉の有意性にはまったく否定的な立場だが)からの抵抗という視点は、インドの台頭という(少なくともある側面での)現実を反映してか、薄れつつある。年配の教授陣には、世代的な呪縛としてそのような傾向がある(大概自認しており、しばしば自己批判もする)。対して(補完的という意味ではない)、新しい流れとしては、学究志向、理論化志向の動きがある。既存の理論や枠組みを使って分析するだけではなく、新しい理論を生み出す、ないしは既存の理論に修正を加えていこうとする試みである。必然的に、欧米において展開されてきた既存の議論に関心が向きがちとなる。

複数の視点が相乗効果をもたらすことがもちろん望ましいのだが、現実には逆に溝となっているような気がしないでもない。
メモ。

北朝鮮「飛翔体」に関する速報状況。
インド時間5日午前9時~9時半(日本時間同日12時半~午後1時)にかけてチェック。

(コメント追記:多くのメディアが、通常記事の1つとして扱った。メディアでは、今回の一件の第一報があまり関心を持って受け止められなかったと言えよう。ただし、Hindustan Timesの詳報ぶりは突出。)

  • 新聞
The Hindu

速報なし
発射前状況に関して ソウル発AP記事"N Korea watched intently rocket launch"配信

(追記:午前11:30付更新で発射の一報。ソウル発AP

Hindustan Times

トップ画面に速報"North Korea defies pressure, launches rocket"
アメリカ反応に関してワシントン発Agence France-Presse記事
韓国反応ソウル発Agence France-Presse記事
日本反応東京発Reuters記事
ほか

発射前状況に関して ソウル発Reuters記事配信
(昨日の誤報は東京発Reuters記事で)

Indian Express

なし

The Times of India

ソウル発AP記事
"North Korea fires long-range rocket"配信

The Statesman

なし(そもそも速報なし)

Dawn

なし
  • 雑誌社
India Today

ソウル発IANS記事"North Korea launces missile despite US warning"配信

Frontline

なし(速報体制なし)
  • ニュース配信
PTI

なし
  • その他
Yahoo! India

トップ画面なし

rediff.com

トップ画面なし
アメリカのルイジアナ州知事、ボビー・ジンダル(Bobby Jindal)。インド生まれの両親の間にアメリカで生まれたインド系アメリカ人である。

ジンダル知事はインド系として実質初めて連邦下院議員に当選し、その後州知事に転じた。共和党若手のホープとしてみなされている。マイノリティーでエリートという点では、オバマ大統領に通じるところがある。

そのような期待を反映して、2月24日に行われたオバマ大統領の議会演説の同日行われる、共和党側からの対抗演説(reaction)に抜擢された。

が、その演説の評判は散々であった。

悪評はその演説の内容よりも、ジンダルの硬さに向けられている。そこでさっそく動画で確認してみたのだが、言うほど硬くはないと思われた。ただし、パッとしないというは確かにそう。内容はともかく、話し方に着目すると、国民向けに話している雰囲気ではないのだ。TVのスタジオと中継をつないで、キャスターの質問に答えているかのような雰囲気。

とりわけ今回の場合は、オバマ大統領と比較されてしまう。オバマ大統領に対抗できる共和党の新星、という役回りを期待されていたのだろうが、国民に訴えかける力において、オバマ大統領には遠く及ばなかった。

国問研の西川さんがこの件に関して少し踏み込んだ分析を示している(リンク)。「ジンダルの対抗演説はあまりにも保守の教条的な考えに満ちており、党派心に凝り固まった共和党が超党派的協力を拒否して大統領の足を引っ張るものと映ったのではないか」というのが彼の分析。

内容か、スタイルか、はたまた両方か。何がこのような不評を呼んだのかはわからないが、ジンダルが高い期待に応えられなかったことだけは確かなようだ。


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プロフィール
HN:
toshi
性別:
男性
自己紹介:
2008年7月から2010年5月まで、ジャワ―ハルラール・ネルー大学留学。
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