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インド・ニューデリーのジャワーハルラール・ネルー大にて国際関係を学んでいた留学生の記録。
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1日目:10月15日(木)

旅立ちの朝は大概待ち遠しいものだ。期待と不安を抱きつつ、つい早く目を覚ましてしまうことなどが多い。

しかし今回はそうはいかなかった。旅立ち前にどうしても終わらせておくべき仕事が残っており、完全な徹夜で旅立ちの朝を迎えた。かろうじて朝6時ごろまでに仕事を終え、それから旅支度をあわただしく整えた。

朝8時、寮で朝食を済ませる。寮の朝食はパン食かインド料理メニューかを選べるようになっており、後者を選択することが常なのだが、この時点ではまだパン食しか準備ができていなかったため、やむなくパンにバターをつけて口に放り込む。寮で出されるパンは嫌いだ。これを食べるといつも、日本のおいしいパンが頭をよぎる。

タクシー(easy cabs)は前日に予約を済ませておいた。10時15分発のフライトから逆算して、8時30分に予約した。1時間少し前に空港に着く計算。あまり時間的余裕がないのは、このタクシー会社を信用してのことだ。

朝食を終えて、予約時間の10分ほど前に寮の前の広場に出た。同じ寮の韓国人学生と会話をして待つ。この人とは初めて話した。てっきりインド北東部の人だと思っていた。向こうも自分のことをそう思っていたらしい。

時間になっても車が見えないため、寮の前のバス・ロータリーまで出るが、車は来ない。

予約時間を20分過ぎても来ない。

おかしい。

タクシー会社に電話をして確認する。こんなときに限って回線が混んでいて、なかなかつながらない。ようやくつながって確認すると、なんと車はこちらに向かっていないという。タクシーの運転手が確認の電話を自分の携帯に入れたが、電源が切られていたため、キャンセルしたとのことだった。電源が切られていたというのは事実でない。電波の入りが悪かったか、運転手が嘘をついているかのどちらかだ。仮に前者だったとしても、SMSを送るなり、繰り返し電話をかけるなり、適切な対応を重ねるべきであったはずだ。このタクシー会社のシステムは信頼しているが、システムがしっかりしていても人が悪ければどうしようもない。

ともかく、すぐに車を向かわせた。それから20分ほど、9時20分ごろにようやく車が来た。急ぎ空港に向かうよう言ったが、この運転手は実に安全運転。普段ならば評価するところだが、なぜこの急ぐときに限って遅い。路上では同社のタクシーに追い抜かされた。それでも順調に9時40分着(タクシーはRs. 165)。フライト30分前。間に合った。

チェック・インもセキュリティ・チェックも空いており、余裕を持って搭乗ゲートまで間に合った。チェック・イン時に割り込みを試みる不届きものがいたが、一喝したところすごすごと引き下がり、他のカウンターに割り込みに行った。こういう場所のマナーを知らないのだろう。さて、チェック・インが遅れたために席が悪いのは仕方がないとしよう(3人席の真ん中)。しかも、出発は大幅に遅れた。1時間近く遅れて、11時ごろの離陸となった。

今回はJet Airways社のJet Konnect便。機内食が有料の会社だ。デリー発、バグドグラ経由のバグワティ行き。ほぼ満席。フライト自体は順調で、午後1時半ごろにバグドグラ空港に到着した。バグドグラで降りる客が多い。欧米系の客が多いのは、おそらく自分と同じくダージリンやシッキムを目指す人々なのだろう。

周囲は平地。緑豊かで、まるで東南アジアの様相。山に近い土地を想像していたので、予想外であった。

当然、暑い。

行き先を考えて服を多く持ってきているが、まだ着なくてよかった。デリーの空港では少し迷っていたのだ。降りるときを考えて長袖を着ておくべきか否かを。半袖のTシャツで正解だった。

この空港のセキュリティはかなり厳重。理由は後で。

空港のプリペイド・タクシーを利用し、最寄りの街のスィリグリー(Siliguri)へ。バグドグラ空港からスィリグリーのバス・ターミナルまででRs. 260。しかし、タクシーを降りたその周囲のバス・ターミナルは見えない。ジープはたくさんいるのだが。実は、タクシーの運転手がこの後どこへ行くのかと聞くので、ダージリンに行くつもりだと答えたところ、気を利かせてダージリン方面行のジープが集まる場所に降ろしてくれていたのだ。さりげなく気を利かせてくれた結果なのだが、これは余計なお世話というもの。ダージリンに向けて発つその前に、この街でやることがあるのだ。バス・ターミナル近くのシッキム州政府事務所でシッキム入境の許可書を得る必要があるのだ。

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バグドグラ空港近くの景色。

『歩き方』の情報にしたがって、「シッキム・ツーリスト・インフォメーション(Sikkim Tourist Information)」の場所を訪ねてまわったのだが、反応が芳しくない。シッキム方面行の旅行業者か何かを探していると思われたのかもしれない。サイクル・リクシャーを使って何とかたどり着いてわかったのだが、しっかりとした州政府のオフィスがあり、「シッキム・ツーリスト・インフォメーション」はその中の部署の名前にすぎない。なので、単純にシッキム州政府事務所の場所を聞くべきだったのだ。

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スィリグリーの街。

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テンジン・ノルゲイ像(おそらく)。

シッキム入境許可証の申請。パスポートとビザのコピーと、それから写真1枚が必要。無料。コピーは自分で用意する必要がある。申請書類を記入して、外にコピーをとりに行って、戻ってそれを提出し、それから5分くらいで手続き完了。手際はよいし、対応もよい。ガイドブックもくれた。係官は当然東アジア系の顔立ち。なお、入境日を特定しておく必要がある。

無事に許可証を入手できた。ここでちょっと一息。ダージリンに向かう前に、ランチにしよう。

すぐ近くのレストランへ。パニール・マッカーニー(Paneer Makhani)とナーンのセット。とてもおいしい。あと、ちょっとリスクを感じながら、コールド・コーヒーを注文。

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パニール・マッカーニーのセット。

一息ついて、いざダージリンへ。考えられる移動手段には、バス、ジープ、タクシーがある。長距離バスはもう懲りている(参照)。実質2択だ。

シッキム州政府事務所すぐ近くのジープ乗り場へ。すると、すぐにジープの手配師が寄ってきた。乗合ジープは20分ほど待たねばならないと言う。同じ型のジープを1人で借りきればすぐに出発できて、Rs. 900とのこと。

少し迷ったが、ここは小銭をケチることよりも、時間(夕方までに着きたい)と体力(徹夜明け)のことを考えて、ジープを借りきることにした。

手配師と運転手が揉めている。「ダージリンまでRs. 500って、それはないよ…」みたいなことを運転手が言っている。手配師、取り過ぎ。手配師は自分に向かって、「この運転手はoldだから、チップを後で弾んでやってくれよ!」みたいなことを言う。ここで言う「old」は、おそらく経験豊富だよ、というアピールなのだろう。結果的に、運転手が丸めこまれた。ちなみに運転手は日本の農村のおじさんのような東アジア系の顔立ち。手配師は北インド的な若者。手配師の勝ち。

3時ごろ、ダージリンに向けて出発。

初めは平野部。茶畑、蛇行する川…。

しばらく行くと、裾野の景色。正面に、山脈が見えてくる。軍の基地や演習地の中を通り抜ける。富士の裾野を思い起こさせる景色だ。

徐々に山道に。狭く、舗装が酷い。そこら中に穴が開いており、穴は近くの河原から運ばれたであろう大きめの石で埋められるだけ。当然、激しく車は揺れる。借りきって良かった。

そして、完全な山道。蛇行する狭い山道を駆け、一気に標高を上げていく。がけ崩れ、道路が崩れている個所も多い。途中、滑落していた大きな岩石に車体をこすりながらかろうじて通り抜けられるところもあった。

標高差1,000メートルほどあったと思われる(後で調べたら2,000メートルもあった)。山道を囲んでいた木々は背の低いものの代わる。気温ももちろん下がる。Tシャツ1枚でスタートしたが、途中で長袖のパーカーをはおり、さらにショールを身にまとった。

出発から2時間ほどで、早くも太陽が沈みかける。山間は日の入りが早い。

山を登り切って山脈を越えると、向かいの山脈の中腹に街が見えた。あれがようやくクルシャン(Kurseong)の街だ。まだダージリンまでの道半ばか。

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ようやく街が見えてきた。

クルシャンの街からは交通量の多い国道55号に入り、世界遺産ダージリン・ヒマラヤ鉄道の線路と平行する。ここからは標高差は少ない。

あとで判明したことだが、クルシャンまでの激しい道は、いわば裏道。表の国道55号を使えば、これほど過酷ではない。この裏道は、それなりの体力がないと耐えられないだろう。


大きな地図で見る

(国道55号は、スィリグリーから一旦西に向かい、川沿いを北上する。それに対し、今回利用した山道は、スィリグリーからまっすぐ北に向かう道。山々に正面から挑むルートだ)

午後7時、ようやくダージリン着。4時間もかかった。『歩き方』にはスィリグリーから2時間と書いてあるのだが…。遠回りしたわけでもないし…(むしろ近道)。クルシャンからの国道55号の混雑がなかったとしても、2時間で着くとは到底思えないのだが…。裏道がいけないのだろうか…

ダージリンのジープ・ターミナルで降りる。チップは要求されなかったので渡さなかった。素朴なおじさんだった。

もう真っ暗。疲労困憊。『歩き方』掲載のデカリン(Dekeling)というホテルへ。

部屋はいくつか空いているようだった。一番高い部屋をチョイス(税込Rs. 1,900)。山小屋風で、設備は大して良くない。お湯もあまり出ない。それどころか、ダージリンは水不足で水すら危ういとのことだった。

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デカリン・ホテルの部屋。広い。
 
チェック・イン時に、翌朝のタイガー・ヒル(Tiger Hill)見物のタクシーを手配(Rs. 600)。

夕食はホテル1階のチベット料理屋デカヴァス(Dekevas)。観光客で賑わっていたが、店員が少なく、サーヴィスは非常に悪い。注文は自分で紙に書く。その代わり、値段は安い。チリ・ポーク、バター茶、トゥクパを注文(Rs. 200)。かなり待たされた後、なぜかバター茶とトゥクパが先に出てくる。順番がおかしい(普通、麺類は後で、茶はさらにその後だ)。しかたないのでトゥクパを先に食べる。全然おいしくない。味が無い。塩を振りかけて食べた。バター茶は初体験。そういうものなのだろうけど、これもおいしくない。かなり遅れて出てきたチリ・ポークが実は一番マシだった。インド的でない、日本の中華に近い味付け。

飲み物を買って、部屋に戻ってすぐ就寝。シャワーを浴びる余力もなく、ダウンしてしまった。前日は寝てないし、仕方ないか。
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自己紹介:
2008年7月から2010年5月まで、ジャワ―ハルラール・ネルー大学留学。
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